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法政大学・波戸岡景太の公式ブログです。主に、自身の研究成果をお知らせします。

11/20/2018

シンポジウム「環境をアダプトする」告知


来月に行われる、もうひとつのシンポジウムのおしらせです。今年最後の学会発表は、日本アメリカ文学会東京支部の12月例会となります。環境思想とアダプテーション理論を融合した先に、いったい何が立ち現れるのか。建設的で実験的で挑戦的な議論の展開をめざします!

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日本アメリカ文学会東京支部12月例会
シンポジウム「環境をアダプトする:エコクリティシズムと視覚芸術」 

司会・講師:波戸岡景太(明治大学)
講師:野田研一(立教大学名誉教授)
講師:齊藤弘平(青山学院大学)
講師:日高優(立教大学) 

概要:
今年は、“ecocriticism”なる概念がMLAで正式に紹介されてから、ちょうど20年という節目の年にあたる。本シンポジウムでは、成熟しつつあるこの批評理論を今一度見直しつつ、アメリカの視覚芸術を対象として、その応用可能性を検証していく。
視覚芸術における「自然」のあり方は、これまで“representation”をめぐる思想の中核をなすものとしてさまざまに議論されてきた。初期エコクリティシズムにおいては、表象行為の主体を、人間から環境へとずらすことが課題とされてきたが、グローバリズムやマテリアリズムといった視点を得て、現在では、そうした「人間と環境」というシンプルな関係を前提とすることはむずかしくなってきている。また、ひとくちに「表象」といったところで、私たちが手にしたり目にしたりする作品のほとんどは、「表象の表象の表象の……」といった具合に、無限ともいえる表象の連鎖の果てに成立するものであり、その元となった対象へと遡行することは容易ではない。
絵画にせよ、写真にせよ、あるいはドキュメンタリーをうたった映像作品にせよ、そこに描き出される「自然」や「環境」は、表象行為の前提のような姿をしているけれど、その実情は、表象行為があることによって事後的に立ち上げられたものなのではないか。こうした問いかけは、近年、アメリカ国内外でその成果がさかんに報告されている“adaptation”をめぐる研究においても本質的なものとされる。本シンポジウムでは、エコクリティシズムがその始まりから議論の対象としてきた自然表象の不可能性を、異なるメディアのあいだでの表象の変換プロセス、すなわち“adaptation”という概念を導入することにより、新たな視点から論じていきたい。

日時:2018年12月8日午後2時開始
場所:慶應義塾大学三田キャンパス

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