昨年から準備してきた単著が、いよいよ今秋刊行となります。
タイトルは、Thomas Pynchon's Animal Tales: Fables for Ecocriticism (Lexington Books, 2022)。
博論と和書『ピンチョンの動物園』を下敷きにしながら、本編2章分と、序章・終章を書き下ろし、そして、過去の発表論文もほとんどすべて改稿して再編集しました。
思えば、文学のなかの動物たちについて私が本格的にリサーチを始めたのは、いわゆるゼロ年代がスタートし、そしてすぐに9/11の悲劇が起きた頃のことでした。あれから20年以上の月日が流れ、動物と人間の関係も、そのねじれた関係をより一層こじらせてしまったような気がします。
そのこじらせ具合を、ピンチョンという複雑怪奇な物語作家の力を借りて再表現し、そして、叶うならば、そこからまた新たな明日を生きるための「寓話」を紡ぎ出したい――というのが、本書をまとめた最大の動機です。
書き下ろしと加筆改稿に際しては、「ソラスタルジア」「代替肉」「保険」「環境ドキュメンタリー」といった、ここ数年でいよいよその重要性を増しているコンセプト/トピックを導入しました。
機会がありましたら、ぜひお手にとってみてください!
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